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理事長の1月19日の講演内容    (中村会員 記) 2019.3.31

当会の大橋理事長が、日米防衛協力を通しての体験的日米文化比較について、都内での講演を行ないました。(平成31年1月19日)

昨年11月の講演に続き、去る1月19日、当会の大橋武郎理事長が「軍事学セミナー」1での講演を行ないました。

 まだ、前回の講演からそれ程日も経っていない事もあり、大橋理事長からは、「今回は若干気楽に、、、」と、主に自分の体験で感じた事を中心に話を進める旨が伝えられ、講演は始められましたが、講師の経験が当時としては世界の先端を行く場面での経験に基づくものであったせいか、新鮮味をもって受け止められていた様に思いました。

 当日、参加した私なりに要約、報告させていただきます。

F-4導入の為の米国滞在に関して)

・日米関係という主題で言えば、米国は身近な外国でああるものの、文化的な面はあまり知られていない。

・講師は33歳の時、当時の最新鋭戦闘機であったF-4戦闘機導入の訓練の為、米国で過ごす事になった。その際、テキサス州のサンアントニオに滞在し、米国内でも様々な意見がある事を知る。また、日本以外にも米国に訓練に来ている様々な外国人と交流し、アジア圏の人々の意見を知る。

・特にアジア圏の人々の日本への期待は大きく、「日本はアジアの人々に迷惑を掛けた」などと言うのは一部の意見でしかない事を感じた。

(在日米軍との交流に関して)

・講師は在日米空軍と航空自衛隊の意思疎通強化の為の担当者として2年間、在日米軍基地に勤務した。

・意思疎通の為の情報交換には、基地の警備なども含まれ、実際に米軍MPと自衛隊警備要員の交流も行われたが、(平時には)非武装に近い装備で警備を行っている自衛官を米軍のMPが笑っていたので考え方の違いを感じた。(米軍には平時という考えがないのか、その場合でも緊張感が全く異なるということであろう。※報告者註)

・米軍は、一般電話は盗聴されているものと考え、大事な話は他の通信手段を使う。

・アメリカ人は、とにかく意見をはっきりいう。気を持たせた言い方だと、「てっきり出来るのかと思った。出来ないなら早く言ってくれれば他の方法を考えたのに」と苦言を言われる。

・語学の重要さは強く感じた。話す人程有能と見なされる。日本人はあまり話さないが、中国人などは間違っていても、聞き取れなくても、通じるまで遠慮なく話すし、その方が好まれる。例え下手でも言葉を話す人が有能と見なされる理由は、言葉の通じない外国に行った時に、日本語(か英語)を話す人に会った時に感じる有り難みを思えば当然だと思う。

・また、米国は文字文化の様なものを大切にして、お礼の文をカードなどに書いて良く渡す。

(質疑応答)

Q. 英語が大事だと言うが、まず日本語がしっかりしていないといけないのでは無いか。

A. 英語圏と日本では文化的な違いもある。“Yes”か“No”かをはっきり表現出来る人は英語の表現も上手です。

Q. アメリカでのF-4戦闘機の訓練について。

A. 自衛隊の訓練は原則海上での訓練が多いので、陸地での訓練が新鮮であった。勿論、訓練空域も広いので、のびのび使えました。

Q. 日本人として嫌な思いをした事は。

A. アジアの国の人達から、「お前達日本人は、米国ばかりを見て、私達のアジアに目を目を向けてくれない。私達は日本にもっと関心をもってもらいたいんだ」と言われた事です。また、国際貢献で外国に行っている日本の若者は仕事について良く教えてくれると聞くが、自分の国の事については教えてくれない(自分の国、日本の事について関心がない)と聞きます。これは残念な事です。

Q. (防衛政策は)米国の押し付けで行っている事ばかりではないか。

A. その様な事例は聞かない。ただし“study”として連携強化の為の試みには可能な限り応じている。

Q. 防衛費を増やしても人員が追いつかないのではないですか。

A. それは、確かに問題です。私は、予備役制度の拡充が必要だと思います。

Q. ソ連の脅威について。

A. 冷戦期のソ連による接近は大型の爆撃機などが主で戦闘機はほとんど無かった。これは戦闘機の航続距離に制約がある為で、地理的に航続距離の短い戦闘機はそれ程脅威とは思わなかった。むしろ近年の南西方面の方が、戦闘機による行動が目立ち緊迫していると言える。

Q. 良い教官とは叱るよりも褒める教官だと思うがどうか。

A. 良い教官というのは、生徒を見て褒めるべきか、引き締めるべきかを適切に判断出来る者です。褒めれば伸びる者もいれば、釘を刺さないと成長しない者もいます。使い分けが大事です。

Q. UAV(無人機)について

A. 対地攻撃や偵察など危険度の高い任務には活用していくべきだと思いますし、必要でしょう。

Q. 自分が乗って操縦するのに好きな飛行機は。

A. F-86Fです。大空を自由に飛び回るという意味ではF-86Fが一番です。

Q. 戦闘機に必要な要素は。

A. まずアビオニクスです。まず(レーダー等のセンサーで)敵がはっきり見えて、ミサイルを正確に誘導出来る、という事が重要です。

Q. E-767AWACSについて

A. あれは実に素晴らしいものです。レーダーを上空にもって行く事で色々な事が出来ます。自衛隊に導入される前に米軍のAWACSを見た時には「こんなものが自衛隊にあったら(さも素晴らしいだろう)」と思ったものですが、現在は導入されています。また、航空母艦というのもベトナム戦争中にはレーダーサイトの役割を果たし頼られていたようです。

                                                 以上

日本を護る会

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